この記事は、このような方のお役に立てばと思い書いています。
・海外へ一時的に転出する予定があり、証券口座の手続きについて知りたい
・海外転勤のある仕事についている。証券口座の開設を考えているけれど、どの証券会社を選んだらよいか悩んでいる
・将来海外転勤がありそうだけれど、子供のジュニアNISA口座を作るか悩んでいる
SBI証券と楽天証券の海外転出時の証券口座維持の可否や方法の詳細については、インターネット上だけではなかなか詳しくわかりません。
2022年3月に電話で問い合わせ、楽天証券からSBI証券に株式を移管することに決めたのですが、1年後の2023年3月に改めて電話をすると、SBI証券・楽天証券ともに一部変更されている内容があったので、シェアさせていただきます。
海外転出時のSBI証券の対応
SBI証券の海外転出時の手続きについては公式ホームページもご確認ください。
特定口座について
ポイントをまとめると以下になります。
保有できる商品は原則として日本株式と日本国債。
特定口座は廃止となり、一般口座に払い出しとなる。
損益は特定口座で購入した時点から計算する。
配当金や分配金は、海外転出中も源泉徴収された状態で支払われる。(なので、配当金については確定申告は不要)
帰国後に特定口座に戻すことはできない。
1年前(2022年3月)に電話した時と異なった点は、非居住者となる間もSBI証券で保有できる商品は原則として日本株式と日本国債に限定されるという記載が加わったことです。1年前はいずれの商品も一般口座に移して保有継続可能という案内でした。いつの間にか約款の変更があったようです。
日本株式と日本国債以外の商品については原則として出国日までに売却するようにとのことでした。
投資信託や米国株式を出国日以降も保有していたら、どうなるのでしょうか?
任意のタイミングで売却される可能性があります。。
・・・
確かに、2022年12月20日付の約款を確認すると下記の記載がありました。
「継続保有が不可となる金融商品をお持ちのお客様は、国内非居住者となる旨を届出いただいた際当社が指定した期限までにお客様ご自身で売却、解約または決済等の処理を行っていただく必要があり、期限を超えた場合、もしくはあらかじめ届出がなく事後に国内非居住者であることが判明した場合にはお客様の計算において当社が任意の時期に売却等の処理を実施することとなります。」
SBI証券の約款・規程集 5ページ 第18条の2より引用
一般NISA/つみたてNISA口座について
海外転出時にはNISA口座の継続はできません。
売却するか、一般口座に払い出しをして保有継続するかの二択になります。
一般口座に払い出す場合には、払い出しの際にいったん精算、その時点での利益はもちろん非課税です。
一般口座に組み入れる際の取得額は、NISA口座から払い出しを行った際の時価になります。
ジュニアNISA口座について
ジュニアNISAも海外転出時には非課税口座としての継続はできません。
売却するか、払い出し制限付き課税口座に払い出して運用を継続するかの二択になります。
出国中も、引出制限期間中はジュニアNISA口座に対する引き出し制限は継続されます。
売却して現金化すると、引出制限期間中は現金のまま保有することになります。
払い出し制限付き課税口座に払い出して運用を継続すると、NISA口座からの払い出し以降に増えた分に対して、売却時に課税されます。
常任代理人の選定について
SBI証券のホームページには、小さく下記のように記載されています。
※常任代理人を選任される場合は、常任代理人業務を行っている弁護士等へご依頼いただくか、株式等の証券知識や税務知識等を有する方への選任をお奨めいたします。
SBI証券 海外転勤等の理由により出国(非居住)される方への対応について
電話で聞いたところ、日本に居住で親族で良いとのことでした!
弁護士や税理士の資格が必須ではないということでひと安心。
海外転出時の楽天証券の対応
楽天証券の海外転出時の手続きについては、公式ホームページもご参照ください。
非居住者の定義について
出国予定期間 | 手続き |
1年未満※ | 手続きは不要です。引続きお取引いただけます。 |
1年以上 5年未満 | 事前手続きが必要です。以下②をご確認ください。 |
5年以上 | 口座を継続できません。 |
期間未定 | 口座を継続できません。 |
※渡航先が米国の場合、以下A/B いずれか多い方が183日以上であれば手続きが必要です。
A:連続して米国に滞在する日数。
B:以下の合計日数。楽天証券「海外出国のお手続き」より引用
- 出国する年の米国滞在日数
- 出国する前年の米国滞在日数の1/3
- 出国する前々年の米国滞在日数の1/6
1年以上5年未満であれば事前手続きで保有可能!と期待しますが、日本株式と日本国債のみです。また、後述しますが、やはり常任代理人に関する規定が厳しめ。。
特定口座について
ポイントをまとめると以下になります。
日本株式や個人向け国債であれば、保有は継続できるが、一般口座に移す必要がある。
帰国後には特定口座に戻すことができる。(これは、SBI証券にはないメリット!)
日本株式の配当金は、海外転出中も源泉徴収された状態で支払われる。
投資信託、海外株式、海外ETFは保有は継続できない。
一般NISA/つみたてNISA口座について
一般NISA口座:出国前の手続きにより、最長で出国した年の5年後の年末まで出国理由が海外転勤によるもの、または、海外転勤に帯同する配偶者である場合に限り保有継続可能!出国中に一般NISA口座で保有している商品の非課税期間が終了した場合は一般口座に払出しになる。
つみたてNISA口座:投資対象が投資信託のみのため継続できない。
NISA口座が出国5年後の年末まで保有継続可能になっていました!!
ジュニアNISA口座について
日本株式や個人向け国債であれば、払い出し制限付き課税口座に移すことができる。
課税口座の開始日は出国日になる。
投資信託は保有継続できないので、売却するしかない。
常任代理人の選定について
楽天証券の場合、常任代理人は「士」のつく資格保有者である必要があると言われました。
具体的には、弁護士、公認会計士、行政書士、税理士、司法書士といった資格だそうです。
自身で頼めない場合には、楽天証券の業務提携先に依頼することが可能です。
年間10銘柄までの保有で、99,000円/年かかり、さらに保有銘柄が増えると1銘柄毎に9,900円かかるとのこと。
常任代理人の選定についても、証券会社によって全く異なりますね。
SBI証券と楽天証券2社のまとめ
項目 | SBI証券 | 楽天証券 |
成人NISA口座 | いったん払い出して清算する 一般口座に移すことは可能 | 出国から5年後までは保有継続可能 |
つみたてNISA口座 | 出国までに売却が必要 | 出国までに売却が必要 |
ジュニアNISA口座 | 売却or保有継続を選択 保有継続する際は、課税口座に払い出しする | 日本株式と個人向け国債のみ課税口座に払い出し可能、その他の金融商品は売却 |
特定口座 | 日本株式と個人向け国債は一般口座に払い出し可能(投資信託や外国株式・ETFは原則出国までに売却、保有していると任意のタイミングで売却される可能性あり) | 日本株式と個人向け国債は一般口座に払い出し可能 |
帰国後に特定口座に戻すことはできない | 帰国後には特定口座に戻すことができる | |
配当金や分配金は受け取り可能(税引き後) | 配当金は受け取り可能(税引き後) | |
常任代理人 | 資格は必要ない | 弁護士・税理士等の有資格者である必要がある |
わたしの海外転出までの対応
これらの内容を受けて、私は楽天証券のつみたてNISAはすべて売却し、その他すべての金融商品はSBI証券にまとめました。
SBI証券の投資信託や外国株式についても、任意のタイミングで売却される可能性はありますが、ひとまずそのまま残すことに。
楽天証券のつみたてNISA口座でなく、一般NISA口座で運用していたら、5年後まで保有継続したかもしれません。
海外転出の可能性があり、一般NISA口座の開設を考えている方には楽天証券が一歩リードというところでしょうか。
一般NISA口座で日本の高配当株を運用していれば、海外転出中も配当金が受け取れますね。ただし、常任代理人に関する規定には要注意。
最後になりますが、実際に手続きをされる際には、最新情報をご自身で証券会社に確認されるようお願いします。
今回の記事がみなさんの参考になりましたら幸いです♪
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